自由劇場で上演されてる「春のめざめ」を見ました。

ベンドラ:林香澄 メルヒオール:柿澤勇人 マルタ:撫佐仁美 モリッツ:三雲肇
テーア:岸本美香 ハンシェン:一和洋輔 アンナ:松田佑子 エルンスト:竹内一樹
イルゼ:金平真耶 ゲオルグ:白瀬英典 オットー:加藤迪
大人の女性:都築香弥子 大人の男性:田代隆秀
<女性アンサンブル>
浦壁多恵 玉石まどか
<男性アンサンブル>
伊藤稜祐 南晶人


ストーリーは、19世紀末のドイツを舞台に10代後半の思春期を迎えた子供達が、教師や親による抑圧・虐待、性への衝動、妊娠、自殺といった様々な出来事に遭遇・経験しながらも、それでも生きていこうとする話(超要約)四季にとっては異色だそう。

初め、公式で上演発表してナンバー紹介された時はほんとに見る気ありませんでした。というより東京行く予定無かった。でも、色々テレビ出たり、ナンバー聞いたり、なんやかんや感想聞いたら興味沸きまして、で千秋楽決まって次はいつ上演されるか分からんから見に行こうと決心し、東京へ。

舞台そんなに見たことない人間なので兎に角新鮮でした。演出とか、セットとか。セットはステージ上にも客席が両端にあって基本的にキャストも出演してないときはステージ上で待機、一般人に扮した俳優さん(アンサンブル)も客として劇場にきてステージにある席に座る。勿論一般のお客さんも同じようにステージの客席に座れます。でもナンバーの時はどこからかマイクを取り出して歌いだす・・・。知らないと吃驚します。(一緒に見た妹がそうでした)そしてステージは初めからキャストが舞台上にいる状態でスタート。基本的にワイヤレスマイクを使って演技をしてるんですが、歌うとき(というより歌を歌う時が感情が爆発する瞬間みたいで、そのとき)は隠してたハンドマイクや舞台上にセットされたマイクスタンド使って歌ってました。マイクスタンドはモリッツとイルゼが歌う「Don't Do Sadness/Blue Wind」だけだったかな。それがとてもとても格好いい!セットも幕はなく、椅子と机だけ。(昔の教室のイスと机みたいなの)で、バックにはオーケストラ(といっても少ないですが)があって。あと照明がとても綺麗!びっくりするくらい綺麗。キャスティングされてる俳優さんは私と同年代くらい。若手中心で、あと大人役として一人で複数役こなすベテラン俳優さんが2人です。

感想は、本当に良かった!内容は大体は知ってたけど、まさかこんなにリアルとは…。いやー凄かった。オープニングでベンドラが裏からバッとスステージ上に出てきたとき、格好が下着(といってもネグリジェみたいなの)姿で出てきたときに吃驚したというよりは、ベンドラが子供であるっていう設定で見ていたから出てきたときに物凄く大人の色っぽさを感じて、そういった意味での緊張感というか、どういう展開になるんだろうっていう緊張感が。こういう始まりだったから終始お堅い硬派なミュージカルなのかなって思ってたけど(ドイツが舞台だし)実際はコメディチックで、例えばベンドラとお母さんの「赤ちゃんはどうしたら出来るの?」っていうシーンのやり取りだったり、ゲイのハンシェンとゲオルグによるガチキスシーンだったり(まぁ客席はしらけてたけど笑)、ゲオルグがバストの大きいピアノの先生が好きになってというよりバストが気になってピアノ弾けません!って所や女の子の恋バナやらやら・・・。
そして泣ける。劣等生のモリッツが自殺を図ったシーンと、そのあとの葬式のシーンは涙なしには見れない。モリッツは勉強できないから学校を落第してしまって、それを親にも責められ(守ってくれる立場ではなかった)理解者だと思っていた人にも見放されてしまって絶望の中自殺をしてしまうのですが、その時のナンバーが「Don'tDoSadness/BlueWind」という曲です。弱弱しくて罵倒したら凹んで復活できなさそうな印象だったモリッツが苦しんで追い詰められた上で、怒りだったり悲しみだったりという感情の全てを爆発させる歌で、ハードなんだけど、でもどこか繊細で。その時にイルゼも出てくるのですが、これまた1幕とは違って(2幕ですこのシーンは)男物のパジャマの上だけ着て、素足で片手には花を持って出てくるんです。「昔みたいにまた遊びたいね」っていう話をモリッツとするのですが、話をしている限りではまだ少女なんだけど、でもどこかに大人の色気を感じさせて。それがまた「昔みたいに・・・」って言ってるけど「昔には戻れない」ということを言っているようで。あと全てを知っていたようにも見えて、どこか痛々しくて。結局仲たがいしてイルゼは去ってモリッツは自殺してしまいます。そのあとの葬式では一人ひとりがモリッツの墓に花を奉げる中神妙な面持ちでモリッツのお父さんが墓の前で立ち、メルヒがその気持ちを代弁して歌ってるのですが、泣けます。兎に角泣けます。見てくださいこれは。
衝撃的なシーンもあります。セックスシーンであったりオナニーシーンであったり笑 後者は多分笑うべきシーンなんだろうけど日本だし四季だし笑 前者はブルーの照明が光る幻想的な雰囲気の中、でも周りには友達がいるという・・・笑 知ってて私は見たんである程度覚悟はしてたんですが、なにも言わずにつれて行った妹はどうだったんだろうかと未だに気になる・・・笑
あと音楽がとてもよかった。飽きが来るナンバーが全く無くてメロディラインも良くて。私は中でもthe bitch of living、Dark I know well、 dont do sadness、 Blue wind、totally fackedが好きで。totally...はマジで格好良かった!鳥肌が立ちました。ナンバー中アンサンブルの上手側の女の人が手すりにぶら下がって暴れてたの格好良かったー(笑)
でも終わり方が疑問。イルゼが出てきて、「どうですか、皆さんにもこんな経験ありますよね?」的なことを聞いて、the song of purple summerに。それでも生きていこう、っていうメッセージなんだろうけど、でもさ、他にもイルゼとマルタの問題だとか、どうしてベンドラが死んだのかとか、てか自殺を決意したメルヒオールが、生きていこうとした理由だとか曖昧。ここだけが腑に落ちない。あと、やっぱりなんかセリフが余りにも母音法で感情が伝わらんなあって。

こう言ってますが、プロモとか見るより全然良かった!パワフルで、ソウルフルで…。舞台から来るエネルギーがとにかく強くて。また見たいなあ。

てか自由劇場本当に贅沢。一番安い席で見たのに表情とかめっちゃ見やすかった。最後列でも舞台と近い近い!きれいな劇場でした。学割使える内にもう一度行きたいなあ。演目次第で行ってみようかしら。