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イオン化粧品シアターBRAVA!で上演されてる三谷幸喜脚本の「ろくでなし啄木」を見ました。

<Introduction>
およそ百年前の四月
とはいえ、まだ春の訪いには少し間がある東北の温泉場。
鄙びた宿に男ふたり、女ひとりの若い三人連れが泊まっている。
客は三人。部屋は二室。
部屋割の微妙さと同様、彼らの関係もまた微妙なものだった。

才能はあっても生きる力に乏しく、世を拗ねる男。
そんな男を愛し、支える女。
女を愛しながらも心を抑え、二人の力になろうとするもう一人の男。

それはつつましくも楽しい、ちょっとした旅のはずだった。
だが、最初の男には別の「思惑」があった。

愛、欲望、友情。
それらより、さらに人をきつく縛りつける自我(エゴ)の罠。
「思惑」のために練られた入念な筋書きが、その夜、幕を開ける。
試された思いの先に浮かび上がるものは・・・。

<CAST>
石川一 藤原竜也
テツ  中村勘太郎
トミ  吹石一恵

歌人石川啄木の一面を描いた作品。かつて大河ドラマ新選組!」で共演した三人の役者と脚本家が作り上げる作品、そして何より中村勘太郎という役者の深さを知りたいと思い観に行きました。まぁ、要するに新選組!の三人が、しかも藤原竜也中村勘太郎が共演するなんて胸熱wってことです。あれから6年ですよ、奥さん!もう30歳手前ですよ。カンタなんて結婚して子供生まれるんだよ!信じられないよ!

アップテンポで、この三人だからこそ作り上げられる良い雰囲気のある作品。とにかく中村勘太郎藤原竜也の仲の良さを知ることというからラブラブっぷりを垣間見たような気がします笑 物語の始まりははテツとトミが数年ぶりに再会し、過去のある出来事をそれぞれの独白で改装するという形式でした。
やはり中村勘太郎が全てを食っていたほど、素晴らしかった。その第一声に「勘ちゃんこんなの出来たの?!」という驚きを抱きました。中村勘太郎って優男とか良い人の役が歌舞伎でも多いし、実際もそんなイメージを持たれているけど、それを全て払拭するヤクザ者の演技、そして父親の勘三郎張りのはっちゃけぶり笑 どこかでこの舞台は中村勘太郎で成り立っていると書かれていたけどまさにその通りでした。勿論藤原竜也吹石一恵の二人も良かったんですけど、それ以上に勘太郎の演技の凄さが際立っていた気がします。
藤原竜也は、よくも悪くも藤原竜也かな、と思う所が多々。特に最後の独白辺りはその印象が強かった。三谷幸喜はよく役者を見て筋書きをするからそれがどこまでなのか、と考えてしまいました。石川啄木か、と聞かれたら良く分からない。でも、やはり引き込まれるものが強い。凄いけど、藤原竜也って感じで冷静に見てしまう自分がいた気がします。
この二人の印象しかないな。吹石さんは初舞台だとは思えなかった。コミカルな演技も出来るのに驚いたけど。

一幕までは兎に角勘太郎の独壇場だった気がします。全部持って行ったw
そして二幕。結末が余りに安易だと思った。最後の藤原竜也の独白に入る前にこの話の結末、なぜ啄木はその決断をしたのか、が見えてしまったのもやはり最後の独白部分を冷静に見てしまう一因になったのかな。余りにも簡単な筋書きだったのではないか、役者の力で持っているのではないか。ちょっと結末に拍子抜けしたし、好きになれない終わり方だった。まぁ啄木が飛び出してきたのは笑ったけど。

でもね、オープニングで「ろくでなし啄木」ってタイトルが浮かび上がるシーンのあの雨に打たれる啄木の姿はとても好き。良いね、文豪っぽくて。そしてじっとテツとトミを見つめるその姿に胸を打たれた。

根底にあるのは自殺した明治〜昭和初期の作家によくある、晩年の心情。一抹の不安、憂いから来る衝動、自殺願望。なんというか、生活苦とか自分自身の才能に限界を見出す時とか。特にといえば、太宰治だよな。石川啄木も少なからずもってそうなイメージはある。まぁ物語だし、実際はどうかなんて誰も分らないけど。最近この心情が分らんでもないよなあと思いながら観てました。でもこの作品で決定的に違うのは最後に救いを与えた所、希望を与えた所です。その終わり方が好きではないんだけどね。

中村勘太郎の演技の良さが再確認できた公演でした。でもやっぱり勘太郎は歌舞伎で観たい。特に花形で古典作品を観たいなっという辺りで終わります。そういやカテコで足引きずってたけど大丈夫かな。昔靭帯切ってるしやらかしたのかなと不安になりました。なんか流血してたとかいうつぶやきを見たけど・・。