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シレンとラギ 2012年5月5日

劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎『シレンとラギ』を観ました。

その頃、その国には2つの王朝があった。北の王国・通称"幕府"は若く愚かなギセン将軍(三宅弘城)を王とするが、実質的に牛耳っているのはモロナオ執権(栗根まこと)。王宮の警備には侍所【さむらいどころ】のキョウゴク官僚(古田新太)とその部下で若くして守護頭【しゅごのかみ】を務める息子ラギ(藤原竜也)があたっていた。先代の王の十三回忌の日。王宮に忍び込んだ敵国の刺客を仕留めたのは、闇の任務を司る狼蘭部隊の中でも腕が立つ毒使いシレン永作博美)。キョウゴクに呼び戻され北の王国に戻ってきたシレンは20年前に敵国・南の王国でかつての独裁者・ゴダイ大師(高橋克実)を自然死と見せかけて暗殺し、その武勇伝が伝説となっていた。
しかし、ゴダイが生きていたという事実に再びシレンはラギと南の王国へと向かう。呼び戻されたシレンの任務は、20年ぶりに仮死状態から目覚めた南の国王の暗殺だったのだ。かつての暗殺から20年の月日が流れ、一時は衰退していた南の王国は、ゴダイが目覚めたことにより勢いを盛り返していた。シレンと、その従者として潜入したラギ。シレンは、かつて国王の愛妾として南の宮廷にいた頃を知るゴダイの正妻モンレイ(高田聖子)と、幹部シンデン(北村有起哉)に迎え入れられる。そこで2人が目にしたのは20年前の独裁者の面影は一切ない、赤子のようになってしまったゴダイだった。
その頃北の王国では、キョウゴクと娘のミサギ(石橋杏奈)がモロナオによって謀反の罪をでっち上げられ窮地に立たされていた。そこへ南の王国一の武闘派ダイナン(橋本じゅん)が現れ、命を救われる。キョウゴクはダイナンからゴダイとモロナオを倒し、北と南を1つにしようという提案を受ける。一方、暗殺行の中、シレンとラギは次第に惹かれあう。しかし、この恋が2つの王国の運命を大きく動かすことになる….。
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藤原竜也永作博美
高橋克実
三宅弘城北村有起哉石橋杏奈
粟根まこと、高田聖子、橋本じゅん
古田新太
右近健一、逆木圭一郎、河野まさと、村木よし子
インディ高橋、山本カナコ、礒野慎吾
吉田メタル、中谷さとみ、保坂エマ、村木 仁 他

遂に藤原竜也劇団☆新感線に登場!です。待ちに待ちすぎて、今まで何で出ていなかったのか不思議なくらいです。真打登場!藤原竜也とあれば見なければ、という心理が動いてしまう私です。

さて、ストーリーのテーマは親子の愛憎劇。禁断の恋、可愛さ余って憎さ百倍みたいなところです。遂にどろどろしたものを出すのねえ・・とほんのりと思いました。
何から書こうか。筋書きは、所々、どこか別の新感線の作品で見たことあるような所があったり、主人公のシレンの出身部族が『ローラン族』と言って2年前の『蛮幽鬼』にも同じ部族の出身のキャラクターが出てきて、繋がってるのか・・?とちょっとにやにやしたりと、新感線フリークには面白かったり、うーんと思ったりもしました。

主人公の一人ラギ役の藤原竜也。ザ・藤原竜也でした。私が舞台での藤原竜也と言えばこうだろう!というのを前面に押し出した姿で、なんだかちょっと一人雰囲気が違ったなあというのが一つ。悩める役が多い彼ですが、今回も大いに悩んでました。でもやっぱり凄いなあと思ったのは、1幕ラスト怒りの形相の姿から2幕冒頭の生気の無い虚ろな顔、そしてまたすぐに1幕ラストの同じ姿を演じ、すぐあとに2幕冒頭の同じ姿に戻るという所での姿の変わりように驚かされました・・・。でもやっぱりザ・藤原竜也。声の通り、話し方、演技・・・演出家がそう付けたそうだけども・・うーん。

悪役ゴダイを演じた高橋克実!凄かった・・。よくテレビやバラエティで見るあの飄々とした面白いおじさんではなく、本物の悪をこれでもかと演じていました・・。吃驚した。誰だあの人は!と釘付け。声のドスの利かせ方、話し方・・・あの面白い人がこんな役をするのかと、高橋克実恐るべし。

他、久しぶりに橋本じゅんを観たけども(と言うより2年ぶりくらい?)なんで最近あんな役が多いんだろう・・・。でも古田新太との掛け合いを観ていると、これが新感線なんだなあとベテランの存在感を見せてもらいました。
あと三宅弘城も、やっぱりか!という面白さ。でも結局何だったのか・・・とも思う。最後の使い方をもう少し・・。純粋さの表れなのかな。

今回の公演、いのうえ歌舞伎的な引き付けられるものっていうのが少なかったような気がする。救いようがない悲劇、ていうイメージがあるんですけど、今回は最後に救いを持ってきた。でも、なんというかその救いの持って行き方はこじつけのように思えて。というよりあのオチが気に入らない。脚本家は今回の作品について、今の日本の姿を見てどうしても書きたかったとパンフレットにあるんだけど、それはつまり、放射能汚染で苦しんでいる今の日本に対してのメッセージなのかなと。いつか必ず浄化された世界が来るとか、方法があるとかそんな感じの事を伝えたいのかなと解釈したのだけど、でも私にはそれが物語の中の戯言にしか聞こえなくて。どうしても理解できなかった。

なんというか、腑に落ちない終わり方でした。求めてるベクトルが違ったのね、きっと・・。でも、役者さんは凄く良かったと思う。今回の作品は高橋克実劇場だと思います。終わり。