For Denis Ten

一度だけ、その姿を見たことがある。たった一度。

2014年3月の終わりに開かれた世界フィギュアの大阪エキシビション。あの選手が出るんじゃないか、とかいろいろ話していて開いてみたらテンくん。
初めて見るスケート姿はとてもしなやかで美しく、"殿下"なんて愛称も嘘じゃないノーブルな姿でした。

ちょうどランビエールの下で練習していた前後だったから、スピンなんかはランビエール直伝。スケートも今の男子シングルでは見ない芸術性の高いプログラムを滑る”アーティスト”。20歳そこそこでスケート文化の根付いていない自国でのアイスショー開催。マネジメントやショー構成も自身が手掛けるという企画力。それだけでなくショーを見に来る海外のスケートファンをもてなそうという心。話したことも会ったこともないけれども、優しくて気が利く人なんだろうなということは見て取れた。

本当に、本当に才能に溢れる人でした。

なんて過去形で語らなければならない事実が悲しい。死を受け入れられなくて未だにニュース記事にある”死亡”や”DIE”という文字を見ると理解ができない。

なぜ彼が。悲しい。非常に悲しい。ソチシーズン後は怪我とかで中々結果が出なくて、平昌もSP落ちということにとてもショックだったけども、でもそれでも、彼のスケートはまだ見れるんだと思っていたから、突然その未来を奪われてしまったことが本当に悲しく悔しい。惜しい。

彼に近しい人の気持ちを考えると胸が張り裂ける思いです。彼を一番に応援しているファンの方の気持ちも。

どうか安らかに。それだけを願い、そして祈ります。
ありがとうテン君。ありがとう。大好きです。