ありがとうを伝えたい

私はただ1人で旅を続けていた。旅の中で何か特別なことが起きるとは微塵も想定していなかった。
何の変哲もない、ただの人。
徒党を組まず、ただただ好きなものを好きと言い、与えられるものを享受するだけと思い行動していた。

いつからか、そんな1人の世界のドアを叩いてくることが度々あった。
私が元気か確かめるかのように、楽しんでもらてるように、私の世界のドアを小さくノックする音が聞こえた。
偶然かもしれない、という思いは、いつのまにか必然であったんだと気付かされ、そのかすかに聞こえるノックの音を私はいつも心待ちにするようになった。

今日も元気かい?
楽しんでいるかい?
また会おうね。
大好きだよ。

かすかに聞こえるノックの音にそんな思いを馳せる。
私は再び旅を続ける。
いつかまた訪れる時が来ることを祈りながら。